しあわせのパン
©2011『しあわせのパン』製作委員会
北海道の洞爺湖のほとりにある小さな町、月浦。この町で「マーニ」という小さな店を営む、りえさんと水縞君の夫婦。この店では水縞君がパンを焼き、りえさんが季節の料理と挽きたてのコーヒーを出している。店の2階には宿泊施設もある。夏のある日、東京からカオリという若い女性が訪れた。彼女はBFとの沖縄旅行をすっぽかされて、傷心のまま北海道へとやってきた。ちょうど、同じタイミングでトキオという、北海道の鉄道に勤める青年も店を訪れる。ワインで酔ったカオリは東京での生活について愚痴を言い始める。しかし、北海道から出る事ができないトキオにとっては羨ましい内容だった。まったく接点がないふたりだったが水縞君の機転で一気に距離を狭める・・・。秋、冬とまったく違う顔を見せる月浦。今日も「マーニ」には笑顔が溢れている・・・・
なんとも心が和む映画でした。こんな所で、こんな商売で生計が成り立つの?などというせこいツッコミをしなければ・・(笑)。近所の人たちとの交流と店を訪れる若者、父娘、老夫婦の話が描かれます。どれもが心温まる話で、そんな人たちを傍らからニコニコ笑いながら見ているりえさんと水縞君の夫婦がいるのです。主演なのに全然出しゃばらないふたりが良いです。そして季節ごとに出される北海道の実りを盛り込んだ美味しそうな料理の数々。そして映画のタイトルにもなっている「パン」の存在が効いています。パリパリの固いパンをちぎって相手に渡す。なんでもないシーンなのですが、そんなシーンにさりげない優しさが感じられます。その時のお互いの笑顔が印象的でした・・。主演は齢を重ねても少女のような佇まいがステキな原田知世。水縞君役はマシンガントークを封印した大泉洋。「マーニ」の来客に森カンナ、平岡祐太、光石研・・・。個性的なキャストが物語を紡いでいきます・・・。監督は三島有紀子。