ホワイトハンドコーラスNIPPON Freude!よろこびのうた
一般社団法人さわかみ財団、一般社団法人El Sistema Connect
2021年12月21日 東京芸術劇場で、あるコーラスグループがクリスマスコンサートに出演しました。このグループの名前は「ホワイトハンドコーラスNIPPON」。視覚や聴覚に障がいを抱える子どもや大人、障がいのないメンバーも参加するとてもユニークな楽団です。視覚障害のあるメンバーは歌い、聴覚障害のあるメンバーは手話でのパーフォーマンス(手歌)を披露。彼らが演じるのはベートーヴェンの交響曲第九番。しかも、この時期はコロナ禍の真っただ中。グループを率いるコロンえりかさんをはじめとするメンバーたちの挑戦が始まった・・・。
音楽を楽しむ事、そして音楽を奏でる事は健常者の特権ではない。しかし、障がいを持つ人たちがいかにして音楽に携わる事ができるのか?この映画はその答えを訴えかけます。ステージに上がる前のミーティングで、主催者のコロンえりかさんがメンバーの前で「今日はみんなで歴史を作る。」と語りかける。まさにそんな瞬間に立ち会う事ができるのがこの映画です。しかし、彼らの挑戦は想像以上に過酷。目の見えない子供たちはドイツ語の歌詞を点字で覚えたり、そのままの音で覚えたり。さらに耳の聞こえない子供たちは言葉の意味は分かっても音楽のリズムも抑揚も分からない。しかも、コロナの影響で対面での練習をする事ができずウェブ会議で、みんなの意見も取り入れながら少しずつ「手歌」を作り上げていく。誰一人としてリタイアすることなく、全員一丸で完成を目指す姿には本当に感動しました。作品の中で子供たちが将来の夢を語るシーンがあるのですが、彼らは障がいになど負けず、きっと夢を叶えることでしょう。そしてついに迎えたコンサート本番。私が説明するまでもないですね。多くの人が彼らのパフォーマンスに感動の涙を流す事でしょう。しかし、一番大切なのはこのコンサートが「ホワイトハンドコーラスNIPPON」の活動のゴールではなく、スタートであったという事。今日もNIPPONのどこかで、彼らのは活動は続いています・・・。