タクシー・ドライバー
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ベトナム帰りのトラヴィスは日々の生活に何か釈然としないものを感じていた。彼はタクシードライバーとなり、いちばん金の儲かる夜中の勤務についた。そこで彼が目にしたものは大都会ニューヨークに潜む、狂気、恐怖、挫折、そして絶望。町のそんな恥部ばかりを見せつけられた彼は一人、怒りに震えた。また、町で彼は12歳の娼婦と出会う。こんなに若い子が売春をしている。何かが間違っている。彼は怒りの矛先を徐々に変えつつあった。そして彼は銃を買いこみその日に備えた・・・。
若き日のデ・ニーロのパワー炸裂です。たぶん、主人公のトラヴィスはすでにベトナムで神経を病み、自分を正義に置き換えた時、NYの街はあまりに汚れすぎていた。目をつぶることもできたが正義の天誅を打つのは自分だと信じていた。そんな狂気を纏うデ・ニーロの鬼気迫る演技は、まさに壮絶。己の正義と現実とのギャップに葛藤し絶望し・・・。そしてこの映画のふたりの女優が素敵です。まずはシビル・シェパード。70年代のキャリアウーマン的な役柄ですが、彼女の知的な面持ちがピッタリでした。そしてもう一人はジョディー・フォスター。わずか12歳で娼婦を演じた彼女はこの映画でブレイクしました。この映画をはじめて見た時、私は高校生だったが、大人になって改めて見ると、やっぱり素晴らしい、そして強烈な作品です。監督は巨匠マーチン・スコセッシ。