砂の器
©1974・2005 松竹株式会社/橋本プロダクション
国鉄蒲田駅操車場内で、殺人事件が起こった。被害者は身元が分からず、警察の捜査は難航した。しかし、蒲田駅近くで被害者らしき男と若い男が酒を呑んでいた事が判明。店のホステスから、東北弁のような話し方をする男が何度か「カメダ」と言っていたという証言を得る。警察は「カメダ」が地名なのではないかと想定し捜査を開始するも、事件の解決になるようなものは発見できなかった。しかし、ひょんな事から被害者の身元が割れる。被害者は三木という男で、以前は島根県で巡査をしていたが,今は退職して隠居していた。彼は琴平、京都、奈良を旅行すると家族に告げたまま、行方不明になっていた。果たして犯人は・・・・・・??
松本清張のベストセラー作品の映画化。殺人事件の裏に隠された、人間ドラマが秀逸です。犯人と被害者の意外な繋がり、そして犯人が背負った「宿命」、この描き方が素晴らしいです。刑事役の丹波哲郎と森田健作が、すごく人間臭くて良い感じ。そして事件と意外な繋がりをみせる希代の音楽家の和賀英良を加藤剛、謎の女を島田陽子、被害者の三木を緒形拳が演じます。(この緒形拳がまた、すごく良いです!)かつて物乞いの父子が旅した、日本海の四季折々の映像はこの映画の最大の見せ場。厳寒の竜飛岬、春の信州、新緑の奥出雲、そして親子はついに島根に辿りつきます。この親子のエピソードには本当に号泣でした。たぶん、私が映画館で初めて号泣した作品がこの映画です。そして駅での別れのシーンは、涙でスクリーンが見えなかった・・・。余談ですが・・・実はこの映画を観た日、私と友人は別の映画を観たくて、今はなき東銀座の松竹セントラルを訪ねたのですが、お目当ての映画がなんと!前日で終わっていて、仕方なくこの映画を観たのです。でも、この映画を観ることができて良かった。友人と二人で大泣きしたのを覚えています。(ちなみにお目当ての映画は浅田美代子主演の「あした輝く」でした)