地獄の黙示録 ファイナル・カット版
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ベトナム戦争末期のサイゴンでウィラード大尉はミッションが下るのを待っていた。そしてようやく彼に下された特命はカンボジアのジャングルに消えた米軍特殊舞台のエリート中のエリートであるカーツ大佐の抹殺だった。カーツは原住民と米兵を囲い、自らの牙城を築き、その王国に君臨しているという。そして4人の部下と共にナン川を遡っていく。様々な試練を乗り越え、彼らはカーツの元へと急ぐ。しかし、ウィラードはカーツの資料に目を通しているうちに、彼のカリスマ性に魅せられ、自分のミッションに疑いを抱き始める・・・
(1979年の劇場公開版より30分長く、全てを盛り込んだ2001年の特別完全版より20分短いバージョンに再編集し、新たなデジタル修復を施した<ファイナル・カット>版。)
1979年に私はこの映画の公開版を映画館で観た。コッポラといえば、その時にはすでに「ゴッドファーザー」という名作を世に送り出し巨匠と呼ばれていたが、当時この映画は彼を狂気に走らせ、完成はしないのでは?と騒がれていた映画だった。当時、高校生だった私は、あまりのスケール大きさと凄まじい映像に、ただただ唖然とするばかりだった。その後、何度かこの映画をDVDで観て、コッポラが一番語りたかったであろう「恐怖」の数々を感じ取る事ができた。それは狂った人間の「恐怖」であり、それを司る「体制」の恐怖だった。そして何十年かぶりにこの映画を、しかも大スクリーンで観て感じ取った事・・、それは「美しさ」だった。この映画は「狂気が創りあげたアート」。それはヘリ空挺師団の空爆シーン然り、竹林を焼くナパーム然り、そしてまたアメリカ軍最後の拠点、ド・ラン橋の異様な明かりと炎だったり・・。その美しさに思わずため息が出ました。そしてこの映画は最強のキャスティングを擁している。混沌としたジャングルの中で、最後まで平静を保ちつづけ、ほとんど仙人と化したカーツを演じるマーロン・ブランドの存在感、爆弾の雨の中でサーフィンを試みるクレイジーなカウボーイ隊長がロバート・デュバル、カーツに傾倒する狂気の写真家はデニス・ホッパー、そして今作のストーリーテラーであるマーティン・シーンの最高傑作ですね。