瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと
©2022「瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと」製作委員会
2021年11月に99歳で亡くなった作家で僧侶の瀬戸内寂聴の17年間に及ぶドキュメンタリー。監督の中村裕氏は瀬戸内寂聴と特別な関係を築きプライべーとな部分まで切り込んだインタビューを敢行する・・・。
今回はかなりの長文です・・・。実を言うと私は瀬戸内寂聴さんより、作家・瀬戸内晴美さんの方がしっくりきます。数百にも及ぶ彼女の著作のほんの一握りしか読んでいませんが、瀬戸内晴美時代の「中世炎上」「美女伝」は私の本棚の中央部分にしっかりと鎮座しております。寂聴さんが出家された後は、様々なフィールドでご活躍されていましたが、私は彼女にほとんど興味を持たずにいました。しかし、今回の映画を観て、私は強烈なショックを受けました。まず、彼女のバイタリティの凄まじさ。ドキュメンタリーをとり始めた時、すでに寂聴さんは82歳だったのですが、エネルギッシュな彼女の活動に脱帽。それは食事にも表れていて、肉はさしの入った霜降りの肉、鮨はトロ、イクラ、ウニ・・、そして極めつけはすっぽん!私は見ているだけで胸やけがしそうな食材ばかり。しかも、晩年までそんな食事を続けられておりました。それが彼女のパワーの源であった事は間違いありません。そしてコロナ禍前まで精力的に続けれていた講演活動の映像も興味深かったです。参加者には歯に衣着せぬ言葉でバッサリと一刀両断のアドバイス。不幸な事も笑い飛ばしてしまう豪快さ。そんな寂聴さんに信者が多かった事も納得です。 この映画の中には生きていく上で、きっと多くの方の背中を押してくれる様々な「名言」が散りばめられていました。その中で私が注目したのは「情熱」というキーワード。何をするにもこの「情熱」がなければ人は前に進めない。言われてみれば当たり前の言葉なのですが、寂聴さんの口から出てくると、まるで「魔法の言葉」のように私の心に突き刺さりました。きっと、皆さんの心にも刺さる「魔法の言葉」が見つかるはず。観ているだけで「ご利益」がありそうな映画です!?