硫黄島からの手紙
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太平洋戦争の末期。日本軍はひとりの指揮官を硫黄島に送った。彼の名前は栗林忠道。本土防衛の最後の砦とされる硫黄島の運命は彼に託された。着任早々、彼は作戦を大幅に変更し、海岸線での戦いを避け島中にトンネルを掘り徹底抗戦をする事にした。この事は古参の将校たちの顰蹙を買うが栗林には信念があった。そんな栗林に希望を見出したのは、この島で絶望を感じていた西郷だった。そして2月19日、ついにアメリカ軍の上陸が始まった。物量では圧倒的に勝るアメリカ軍はこの島を簡単に落とせると思っていたが、ここに歴史的な激戦の火蓋は切って落とされたのだ。栗林は兵士たちに「犬死」する事を禁止し、最後の最後まで生き延びてお国のため、そして家族のために一日でも長く、この島を守ることを命令した・・
この映画を観る半年ほど前、私の勤めている会社の会長が面白いといって一冊の本を貸してくれました。それは梯久美子さんの「散るぞ悲しき」という本で、硫黄島で散った伝説的な指揮官、栗林中将の本でした。そこには硫黄島の戦いの悲惨さはもちろんですが、彼が家族に送った手紙が数多く取り上げられていました。今回の「硫黄島からの手紙」にはこの本の中のエピソードが数多く取り入れられていて、私にはひとしお感慨深いものがありました。この映画は大半が西郷という若い兵士の目線で語られるのですが、望んで戦争に行った者はいないこと、そして誰もが「生きたい」と思いながらも無念を抱えて死んでいった事がまっすぐに語られています。この辺りの演出はまさにクリント・イーストウッドです。主演の栗林を演じるのはもはやハリウッドスターの渡辺謙。西郷役は二宮和也。彼の演技がイーストウッドを唸らせたというのも嘘じゃなさそうです。その他にも加瀬亮、井原剛、中村獅童・・。製作総指揮にはスピルバーグが噛んでいるので、戦闘シーンの迫力はすごいです。