チョコレートドーナツ
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1979年、歌手を目指して女装のショーダンサーとして日銭を稼いでいるルディはポールと出会い、ふたりはひと目で惹かれあう。ポールは弁護士。彼は自分の護身のために自分がゲイである事は頑なに隠していた。ルディが暮らしているアパートの隣室には薬物依存症の母親とダウン症の息子のマルコがいた。そんなある日、母親はマルコをひとり残して家を出て、そのまま逮捕されてしまう。マルコを不憫に思ったルディはポールに相談するが、ポールは家庭局に連絡をして施設に入れる事を提案する。そしてマルコは強制的に連れて行かれた。翌日、ルディとポールが夜の町を車で走っていると施設を抜け出したマルコがひとり、夜の町を彷徨っていた・・・。
人間同士の愛情に垣根なんてない。相手が同性であろうと、障害者であろうと。この映画の中に描かれているのは「この上ない優しさに包まれた愛情」と、「異物を排除したがる世間の偏見」。昨今、同性愛についてもかなり理解はされてきましたが70年代という時代背景もあり、ゲイ=ダメな人間みたいなレッテルを貼られてしまうルディとポールがなんとも切ない。ただ、お互いに愛し合っていて、そこに新しい愛情の対象であるダウン症の少年が加わっても、彼らの愛は終生変わらないはずだったのに・・・。しかし、「子供を何とも思わない実の親」と、「心から子供を愛して守りたいと願うゲイ」のどちらが子供にとって幸せなのか?答えは明白だけど、一筋縄にはいかないのが社会です。ルディ役はアラン・カミング。彼の熱い演技と心に沁みる歌声が印象的でした。ポール役はギャレット・ディラハント。熱いルディに対して冷静でクールな弁護士役が素晴らしかった。そしてマルコ役はアイザック・レイヴァ。実際にダウン症の彼はプロの役者。これが初オーディションで得た役です。