海の上のピアニスト
© 1998 MEDUSA
1946年、今は落ちぶれたトランペッターのマックスは慣れ親しんだトランペットを売ろうとしていた。最後に吹いた一曲が店主の耳に止まった。その曲は・・。そしてマックスは伝説のピアニストについて語り始めた・・・。1900年、大西洋を行き来する豪華客船ヴァージニアン号のピアノの上に一人の男の子が置き去りにされていた。黒人機関士に拾われた彼は1900(ナインティーン・ハンドレッド)と命名された。そして彼はこの船の中ですくすくと成長し、やがて彼はピアノに目覚めた。そのとてつもない才能は、譜面なしで乗客たちの表情を読み取り即興で演奏をしてみせた。そんな彼は一度も船を下りたことがない。数々の逸話を残しながらも、陸の上では存在しなかったピアニスト・・。
心に残る名作です。ティム・ロスが今までのイメージとはまったく違う役柄ながら、見事に演じています。寡黙で人に対してはとてもシャイであるにもかかわらず、ひとときピアノと向き合えば超人的なまでの手腕を振るう。ちょっと変わっている主人公は、まさに彼のはまり役です。そしてこの話しのストーリーテラーになる、マックスを演じたプルート・テイラー・ヴィンスがまた良い。1900の人柄に惹かれ、また彼の音楽の才能を一番理解していたのは彼だったのでしょうね。二人の友情もこの物語の大きなコアです。しかし、この映画の一番の見所(?)はエンリオ・モリコーネの音楽でしょう。1900が奏でるピアノ、そしてパーティで奏でられるダンスミュージック。そしてジャズ。この映画のもう一人の主人公は音楽そのもの。ドルナトーレ監督は「ニュー・シネマ・パラダイス」以来の傑作ですね。